母と娘①
小学校4年生の2月13日。
私が母親を嫌いになった日。
大人になった私から見れば、
本当に些細なこと。
どうでもいいこと。
でも10才の私には、とんでもないトラウマを刻み込んだ日。
多くの小学校がそうであるように、
私が通っていた小学校も、
バレンタインデーには女子から男子へお菓子を配るのがならわしだった。
それなりにお菓子作りが好きだった私は、
母に100均でチョコレート用のカップを買ってもらい、
チョコペンでイラストを描いた。
まるで、デパートの高級チョコのようなイラストだ。
(当然小4クオリティーではあるが)
人数×3個が出来上がると私は満足し、
母に見せた。
「なんか物足りないね。
朝まで、ママが何か用意してあげる。
包装もママがやるから」
褒めるでもなくそう言った母は、
もう遅いから早くお風呂に入って寝なさい、
と私をいつものようにどやした。
少しでも抵抗すると殴られるので、
大急ぎで寝た。
よくできたチョコレート。
きっとみんなびっくりするだろう。
そう思いながら、
大急ぎで寝た。
【②に続く】